Drop into 花鳥画

野鳥好きのライターが花鳥画についてイチから探索する日々を綴ります

「名作誕生 つながる日本美術」後期

会期終了2日前に滑り込み。展示替えでお目見えした作品を中心に観る。

 

やっぱり雪舟はすごいなぁ。国宝「天橋立図」の解説に、「雪舟による実景図の代表作」みたいなことが書いてあったのがおもしろかった。いわゆる風景画って、その場所に行って写生するのが当たり前だと思っていたから、わざわざ“実景”なんて断らなくてもよいのではと一瞬思う。しかし、この時代は風景画だって模写がバンバン行われていた。行ったことのない中国の山水だって日本の画家はせっせと描いた。だから、そうじゃないやつは“実景”と言ってわざわざ区別したのだろう。

 

雪舟は実際に中国に渡って絵を学んでいる。北京から寧波へ向かう旅の風景を描いたという「唐土勝景図巻」は間近で眺めることができたが、これは描いていて楽しかっただろうなぁ。

 

圧巻だったのは、「第4章 つながるモチーフ/イメージ」の富士三保松原をテーマにした三点の絵の展示。まずは雪舟の「富士三保清見寺図」。左に富士、右に松林。ふもとの家々が結構しっかり描かれているのが印象的。

 

それを六曲一双のおおらかな屏風絵に展開したのが、狩野山雪「富士三保松原図屏風」。左の富士と右の松林の間のゆったりとした間。のどか、茫洋……嗚呼、こんな屏風の前に座ってお茶を飲んでみたい……。

 

最後が曾我蕭白の「富士三保松原図屏風」。うわ、これはパンク! もう雪舟からも、実際の風景からも、かなりかけ離れちゃっている。言われなければ現代の画家の絵だと思ってしまうかも。それほど自由で、明るく、大胆だ。

 

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曾我蕭白「富士三保松原図屏風」左隻。富士山の形がまるで漫画)

 

注目していた蓮池水禽図、後期に登場した中国・南宋時代の作品も、やはりカモは地味だった。派手なオシドリ雄は描かれていない。

 

この企画展は、美術展によくある時代や作家で区切る展示ではなく、テーマでくくってさまざまな作家の絵のつながりを見せる好企画だった。1か月半という会期の短さが本当にもったいない。